医療・介護の新モデル「介護医療院」

なぜ介護医療院への転換・整備が進んでいないのか

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現段階ではまだ整備が進んでいない

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介護医療院が新設された理由

これまで制度上では「介護保険が適用される介護療養型医療施設は長期的な介護療養が必要な人」「医療保険が適用される療養病床は長期的な療養・管理が必要な人」と明確に分けられていました。しかし、2006年の診療報酬と介護報酬の改定の際に厚生労働省が調査したところ、明確に区分されていないことが判明したのです。さらに、医療保険に区分されている人の一部に介護保険が使用されているなどの問題も発覚しました。これにより、介護療養型医療施設の廃止と転換が決定したのです。
しかし、もともと介護療養型医療施設へ入院している人の多くは、末期がんで食事ができない人、肝硬変の末期で黄疸が出ている人、喀痰吸引が必要な人といったように常時医療が必要な人ばかりでした。そのような状態の人たちをリハビリや医学的管理に重点を置き、在宅復帰を目指す老健だけで受け入れるのは無理があります。そこで、急性期病院や療養病床に入院できず、一般的な介護施設でも受け入れるのは難しい人をサポートする施設として新たに誕生したのが「介護医療院」です。

整備が進まない介護医療院

介護療養型医療施設は2006年の診療報酬・介護報酬の改定の際に廃止することが決定しました。当初の予定では廃止・転換期間を5年先の2011年度末と定めていましたが、2011年の介護保険法改正の際に転換が進んでいないことが分かり、廃止・転換の期限をさらに6年間延長し、2017年度末までとしました。
なぜ、転換や整備が進んでいないのでしょうか。介護医療院への転換はもともと、長期的療養が必要な高齢者や要介護度が重度の高齢者のために病床を転換し再整備しようというものです。しかし、病院から施設に転換するとなると病床が減少してしまうため経営側にとってはかなり大きな決断です。躊躇いを感じてしまい、なかなか進められないのでしょう。また、施設整備の基準や補助金は状況によって変化しているため、まずは院内で意見を収集してから決定する、と様子見しているところも少なくありません。
整備が進んでいないのに期限がきたからといって廃止してしまっては、行き場がなくなってしまう人も出てきてしまいます。そのような事態を避けるためには段階的に転換していくしかありません。予定よりも時間がかかってしまうのも仕方がないことでしょう。現在、転換の期限は2024年の3月です。

ターニングポイントは「今」

介護医療院は、介護療養型医療施設に入院している人の受け皿だけではなく、地域医療・福祉にとっても重要な役割を担っています。今後どのような方針で医療機能や病床を変化させていくのか、地域医療・福祉を担う中でどのようなポジションになるのか、転換期の今がまさにターニングポイントなのです。

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